自然栽培の畑とくらし
2024年 02月 26日 「手紙」 谷川俊太郎電話のすぐあとで手紙が着いたあなたは電話ではふざけていて手紙では生真面目だった〈サバンナに棲む鹿だったらよかったのに〉唐突に手紙はそう結ばれていたあくる日の金曜日(気温三十一度C)地下鉄の噴水のそばでぼくらは会ったあなたは白いハンドバックをくるくる廻しぼくはチャップリンの真似をしそれからふたりでピザを食べた鹿のことは何ひとつ話さなかった手紙でしか言えないことがあるそして口...
2024年 02月 24日 リクエストを出していたサトクリフの絵本が、市街の図書館から届いた。わくわくして待っていたから、すぐにページを開いて楽しみました。臆病でかわいい小犬のピピン。玄関から寝室まで行くのにも、長くて真っ暗な廊下が怖くて、鳴きながら走っていく始末。こわいものはいっぱいあったけれど、ピピンがいちばんこわいのは、マミーにかわいがってもらえなくなること。飼い主のマミーとピピンはわかり合い、互いを必要として、...
2024年 02月 21日 『屋根裏部屋の秘密』 松谷みよ子 偕成社民話のイメージが強い松谷みよ子さんだけれど、直樹とゆう子の物語(副題)四巻は国家と国民とに問いを投げかける社会派の物語だ。『ふたりのイーダ』『死の国からのバトン』『私のアンネ・フランク』は原爆、公害、アウシュビッツをテーマに書かれている。三巻で終るつもりが、侵略者としての、加害者としての戦争をどうしても書かねばならぬと手掛けたのが、この『屋根裏部屋の秘...
2024年 02月 12日 新刊コーナーで光を放っていた(ように見えた)ケルト全史。迷わず手に取った。そして、サトクリフのローマン・ブリテン四部作もいっしょに借りてきた。ローマ軍とたたかったケルトの士族たちの歴史を少しでも理解できるだろうか。ちなみに、サトクリフは士族の側からの作品もいくつか書いている。ローズマリ・サトクリフのローマ軍団のシリーズは、どれもこれも胸をひりつかせる、荒々しく骨太な物語だ。ブリテンに侵攻し...
2024年 02月 09日 お日さまに、田んぼの雪がキラキラ。人間の雪渡りは無理ですが、カラスがガッチで歩いていた。よちよち歩きがかわいかった。昨日パンを焼いた。習慣になって、手際もよくなってきた。形をもっときれいにするのが次の目標かな。白血病になった少女の物語四部作。闘病記は生々しすぎて、手に取るのがはばかられがちだけれど、ローレイン・マクダニエルのこの物語は、死への不安や気持ちの揺れを克明に描いているにもかかわらず...
2024年 02月 04日 読んでみたいと思うような本を、紹介してくださるブロガーさんがいる。先日取り上げられた、『絶望名人カフカの人生論』は題を見た瞬間から読みたくて、早速図書館で借りてきた。いっしょに紹介されていた、ねじめ正一さんの『荒地の恋』といっしょに。二冊は奇妙に響き合っていて、二冊続けて読むうちに、きゅっと縮まった「心」がしばらくして、ふわーっと広がっていくような感覚を覚えた。カフカの人生論を編訳した頭木弘...
2024年 01月 31日 「りんごの木を植えて」 大谷美和子 ポプラ社二世帯住宅で暮らす、小学生のみずほ。一階に住むおじいちゃんは、癌を患っている。手術をしたのに、癌はあちこちに転移、おじいちゃんは、積極的な治療をせずに、家族と日常を過ごす決心をする。「生きることを投げ出したり、あきらめるつもりはないねん。時間じゃなくて中味や。自分らしい生き方をして柿の実がぽとりと落ちるように、自然に任せて死にたいんや。自...
2024年 01月 27日 一月は読書の月。家族三人、黙々と読んでいた。夫はあまり物語は読まない。私と母は、児童書が中心。予約を入れていたナオミ・イシグロの『逃げ道』韓国の詩人キム・ソヨンの『数学者の朝』キンダートランスポートのことを書いたピーターズの『アンナの戦争』この三冊がベスト3だった。そして、昨日読み終わったばかりの上野瞭『ひげよ、さらば』。分厚い三巻。 壮大な猫の叙事詩。たしかNHKで人形劇になって放映された...
2023年 10月 22日 この頃、読みたい本がみんな図書館の倉庫の中なので、司書さんの手を煩わせています。新しい本もいいけれど、古い本は大好物です。黄ばんだ紙にさえ親しみを感じます。昏い書庫の中から呼び出してもらい、本が喜んでいるんじゃないかなと思ったりします。8巻の乙骨さんのシリーズを楽しみながら読んだ。どの本も新しい試み(テーマ)で構成され、それでいてその背骨には、一本の強い信念が貫かれていて、読めば読むほど...
2023年 10月 04日 10月3日発売の福音館「母の友」11月号。この月はいつも、読み聞かせの特別企画が組まれます。子どもに読み聞かせるのもいいけれど、大人も楽しめます。一日一話のその中の、11月24日のお話に、わたしが書いた童話を加えて戴きました。「たからさがし」というお話です。アヤ井アキコさんが、素敵な絵をつけてくださって、絵だけで空想の世界が広がります。自分の頭で描いていた以上の世界がそこにあり、ラフデッサン...
2023年 09月 22日 前橋の友人、水凪紅美子さんから新作の長編が送られてきた。「けものみちのにわ」心に残るファンタジーだった。章ごとに美しいタイトルがついていて、月ごとに不思議な出来事が起きる。順番に絵画を見て行くような、扉をひとつずつ開けて行くような喜びがあった。美しい章、ちょっと不気味な章、楽しい章…そしてラストシーンでは、あっと驚かされる。主人公の風花が不思議なことをすんなり受け入れていくことに物足らなさを...
2021年 05月 02日 この本は内山節さんが、東北の農家の方と毎年二月に開催している自主的な勉強会「東北農家の二月セミナー」の講演会記録をまとめたもの。2017年、18年、19年の三年分。四十年近くも続いてきた勉強会だという。語る人と聞く人の気持ちの相乗効果で、とても深い勉強会だということが、読んでいるだけで伝わって来る。内山さんの著書はこれまでも何冊か読んできて、そのたびに、深く考えさせられたが、読み終わった後に...
2020年 08月 10日 昨日の書評欄で見つけたエッセイ。買ってでも読みたいと思ったら図書館に入っていた。大好きな尊敬するル=グウィン。八十を過ぎても、言葉は鋭く瑞々しく、ユーモアがあってぐいぐい読めた。そして飼い猫の描写には、もうだめ。思わず猫を探しに行きたくなってしまう。いくつかの章をそっくりそのまま書き残しておきたいと思った。言葉というものの、魔力や魅力について彼女の思いを、そのまま私も持ち続けたいと願った。訃...
2020年 08月 04日 須坂市で内山節さんの哲学塾があると夫の友人から連絡を戴き申し込んだけれど、コロナの心配と体調がいまいちなので見送ることにした。とても残念だ。長野の友人が送ってくれた内山さんの文章がとてもよかったので、全文を紹介しようと思う。ちょっと長いけれど、読んでもらえたら幸いです。 「営みを守り合う生命観」 内山 節 数年前に「合成の誤謬(ごびゅう)」...
2020年 07月 28日 ムーミンシリーズを読み終えた。最初はとっつきにくかったけれど、最後はムーミン谷の風変わりなひとたちを好ましいと思った。引っ込み思案だったり、偏屈だったり、孤独癖があったり偏愛だったり。どの登場人物も個性が強く、癖があるけれどどこにでもいそうな、いや自分の中にみんな棲んでいそうなひとばかりだった。アニメのイメージが強く、子供向けと思ったこの本は読み進むほどに、哲学的な示唆に富む本に変わっていっ...
2020年 07月 08日 昨日は図書館へ行き、むしょうに読みたくなったムーミンシリーズを借りることができた。しいこさんのレオの話、ジョーン・エイキンと高楼方子さんの短編集は、昨日のうちに読み終えました。今日はムーミンを読んでいます。いちばん最初の「ムーミン谷の夏まつり」はムーミン谷を襲う水害の話。朝から鳴り響く市の広報スピーカーの声とシンクロしています。朝方は、風景が白く霞むほどの雨。でも、昼頃にはおとなしくなり避難...
2020年 06月 30日 新聞で読んで気にかかっていた言葉、「ネガティブ・ケイパビリティ」。よく理解したいと思い、図書館にリクエストして届いた本を二度読んだ。この言葉を初めて使ったのは英国ロマン派の詩人キーツ。弟の手紙に一度使われただけのこの言葉を、一世紀半後に発掘したのは精神科医のビオンで、ビオンは患者とのコミュニケーションにおいて「性急に答えを求めず、深い受容の体勢を保ち静かに相対する」というネガティブ・ケイパビ...
2020年 06月 11日 『指輪物語』を読み終えた。トールキンの原文がいいからはもちろんだけれど格調高い文体、心に響く言葉、ありありと浮かんでくる情景描写の確かさに、読んでいる途中で「訳者はだれかしら?」と思わず確かめたくなった。そこには「瀬田貞二」と書かれていて納得した。格調高いと言っても古臭くはなく、かえって瑞々しい。何より、エルフはエルフらしく、ホビットはホビットらしくオークはオークらしく、会話の口調が的確にそ...
2020年 05月 02日 ずっと読めずにいたトールキン。読み始めては「やーめた」となって、次に開くともうあらすじがわからなくなって、また最初から。その繰り返しだった。寝る前に少しずつ読んで、とうとう『ホビット』を読み終えた。我を忘れる、とまではいかなかったけれど、毎晩楽しみだった。主人公ははからずも冒険の旅に出ることになった、ホビット族のビルボ・バギンズ。なぜ自分が旅の仲間に加わることになったのかわからずいつも家に帰...
2020年 03月 24日 友人の小林栗奈さんの新刊です。 雪にまつわる不思議なお話が本の中に九篇。 いつも思うのだけれど、栗奈さんの静謐な文体とかデリケートな表現力は 淡雪のこの季節にとっても似合う気がする。 中に収められている近未来を描いた二作品が、子どもたちの未来を予言するものとして、ちょっとドキッとさせられた。ひとつは、未来の学校。本物の先生ではなく、自分が選んだ「先生カード」をPCに入れて学ぶというもの...
彼岸 昨日、お墓参りに行って、...
やっと春かな? 梅がやっと二輪咲いた。早...
光 茶色のごわごわの枯れ枝の...
寒さの朝に出会ったもの 雪の朝です。凍りついた道...
雪のち晴れ 今朝の光景。べたべたの雪...
マーマレードレシピ <問い合わせがあったマー...
五平餅 16日は館宮神社の祈念...
春のケーキと美味しいパン さいわいカフェさんのイン...
「小さな食堂山ひこ」へ ずっとずっと楽しみにして...
読書記録「忘れられた巨人」 カズオ・イシグロの再読。...