読書記録
2019年 05月 03日
そう思う人は多いに違いない。
世界中の国々が今、農薬漬けの農業を見直して、種子を守り
遺伝子組み換えの作物や加工食品を問い直そうとしている。
そんな中、日本は主要農作物の種子法を廃止し、農薬の食品への残留基準値を
規制緩和しようとしている。それを大手メディアが報道しない……
そんなぞっとするような話のオンパレードに胸がざわつく。
遺伝子組み換えの種子は、農薬(グリホサート)とセットになっている。
種子法が廃止され、独占企業による遺伝子組み換えの種ばかりになった世界を
想像してほしい。多様性が失われ、同じものばかりが並ぶ食品店を。
しかもその食品は、形こそきれいだけれど、中身はスカスカのミネラルもビタミンも乏しいものばかり。
種に含まれる農薬グリホサート(抗生物質)は、いやおうなく体に取り込まれて、
発がん性があるばかりでなく、
体の中にいる悪玉菌だけでなく、善玉の腸内細菌もすべて殺してしまう。
腸内細菌の働きが弱くなると
肥満、アトピー、花粉症、アレルギー、学習障害、自閉症、うつ病など
が引き起こされることがわかっている。
今社会問題になっているこれらの病が、
なにげなく食べている食の蓄積によるものだとしたら?
いちばん大事な食の問題が
自分の力ではどうしようもない、という事態になる前に
この流れを食い止めなくてはならない。
農作物と土壌。 食べ物と腸。
この二組は同じ関係で成り立っている。
土壌にも腸にも、微生物たちがいて働いてこそ
健全な状態だと言える。
農薬で、抗生物質で、すべてを死滅させ、新たに化学肥料、サプリメントを注入する。
このばかばかしい二重構造は、すべて、「儲け=欲」の結果であり
ひとの健康を考えたものではない。
資本(儲け)中心の社会の流れを変えるのは、並大抵なことではないけれど、
だれかが、少しずつでも意識を変えれば、
その波は広がっていくはず。
腸内細菌が増えれば、消化吸収が良くなり、少ない食べ物でも満足できる。
畑がなくてもプランターでも、庭でも、野菜は育てられるし
そんなささやかなところから、「腸活」を始めたら
体も心も、社会も変えて行けそうな気がしてくる。
遺伝子組み換え食品も、大量生産の方法も、いつか来る食糧危機の為と
言い訳をする人がいる。
でも実際は、食料は有り余っていて
量ではなく配分の問題だとも言われている。
ある国で、大量の廃棄食料がある一方、飢餓の国がある。
儲けだけにとらわれていたら、配分はうまくいくはずがない。
いい方法はないものか…。自分たちさえ豊ならいいと思わずに。
そして、最後は心の問題に行きつく。
心理学者チクセントミハイは
現代社会で考えられている「仕事=苦痛」の反証として
イタリア北部の伝統的コミュニティー、ポント・トレンタッス村の事例を挙げている。
「この村の76歳のある老婆の暮らしは、毎朝五時に起き、朝食を作り
家を掃除し、牛の群れを放牧し、果樹園の手入れをし、夕方にはひ孫に物語を語り聞かせ
週に何回かは友人や親せきとパーティをしてアコーディオンを弾くというごくありきたりのものだ。
しかもアルプスの山村生活は厳しく、村人たちは毎日十六時間以上も働いている。
けれども仕事と遊びの時間がほとんど区別されず、家畜も農産物も友だちで
自然ともつながっているために充実した幸せを感じている。
チクセントミハイの言う「フロー」の境地がここに在る気がする。
「マインドフルネス」は特別な状態ではなく
本来、生きるものすべてに備わっている心の状態だと思う。
そしてその、幸福感を足り戻すために
生き方を少し変えてみようと
思わずにはいられなくなる。
by junecat6
| 2019-05-03 18:57
| 本
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