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『骨董屋・眼球堂』

『骨董屋・眼球堂』_d0368117_13311542.jpg
友人の本、最新作。
気になる題名に、早く読みたくてうずうずしていました。

タイトルのとおり、眼球にまつわる読み応えのあるファンタジーです。

目玉の取引と言えば、思い浮かぶのは「大工と鬼六」
目玉と引き換えに橋造りを鬼に頼んで、鬼の名前を当てたら、
目玉は取られずに済むという昔話。

目玉というのは命と引き換えになるほどの大事なもの。

このお話の中でも大事な役割を果たします。

主人公は目を病んでいる女子中学生、柚香。
文芸部の部員で、物語を書く少女。

ふとしたことで、迷い込んだ不思議な扉の奥の骨董屋で
物語ることと引き換えに、新しい眼球をもらう取引をする。
紫檀のテーブルに並べられた骨董が語る物語を
柚香はそのものに変わって、語り出す。
その物語は、眼球にまつわる、妖しく、物悲しく、不可思議なものばかり。

柚香の日常と物語の非日常が絡み合って、思いがけない結末が導き出される。
眼球の取り換えというのは、目薬を差すのもビクビクのわたしにはとても恐ろしいこと。
でも、近未来的に、クローン技術が進んだら、そんなこともありえそう。

物語を紡ぐことの、危うさや愉しみもそっと描かれていて、はっとしました。
個性的な発想といつもながらの構成力の緻密さ。
不気味になりそうな題材を、透明感のある文章できれいにさらりと描いてあるのはさすがです。

謎の多いもう一人の主人公、骨董屋の店主を、栗奈ちゃんがまた別の機会に描いてくれたら嬉しい。
柚香の結末にはほっとして、救われました。

『骨董屋・眼球堂』_d0368117_13575882.jpg
            リュウもいっしょに読みました。



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by junecat6 | 2019-04-17 14:01 | | Trackback | Comments(0)